手倉森監督の監督としての選手起用の見極めとは…
ひらめきだと言う。イラン戦で途中出場ながらも決勝点を奪ったMF豊川雄太(岡山)は、前日練習で主力組で調整して「セットプレーも僕しか蹴っていなかった」と話したように、手倉森誠監督も先発でピッチに送り込もうと言う考えを持っていたようです。しかし、蓋を開けてみると彼の持ち場となる左サイドハーフにはMF中島翔哉(F東京)がスタメンで起用されていたのだ!
イラン戦に送り込んだスタメン選手は「相手の高さが怖かったので、ヘディングが強い方」と言っていたが、実際は違ったのだ!
164センチの中島選手と173センチの豊川選手で比べると当然、後者の方が「ヘディングが強い方」になるが、指揮官は熟考の末に新しい発想に辿りついたのだ!それは「あまりにも高さを怖がって相手に合わせ過ぎたら、勝ち運にも見放されるのではないか」と。
結果、「一瞬のひらめき」で豊川には「後半途中から行くぞ」と伝え、中島が先発出場することになった。
そして、イラン戦で得点を奪ったのは、その2選手。後半43分からピッチに送り込まれた豊川は延長前半5分、指揮官の期待に応えるように先制点を叩き込み、延長後半3分と5分には中島が立て続けにネットを揺らしてチームは3-0の勝利を収めた。
14年1月のAFC U-22選手権でイラク(●0-1)、同年9月のアジア大会で韓国(●0-1)に敗れ準々決勝敗退を味わっていたチームは、ついに“鬼門”を突破した。
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選手からみた手倉森監督の采配とは…
あまりにもハマった采配に、豊川も試合後に「うまく乗せられたという感じでしたね。本当にテグさん(手倉森監督)はすごいと思いました。僕は先発かなと思っていましたが、今になって見れば、ベンチスタートで良かったと思います」と脱帽する。
毎試合のようにスタメンが大幅に入れ替わる点も見逃せない。グループリーグ第1戦北朝鮮戦から第2戦タイ戦は「相手をスカウティングして」6人、タイ戦から第3戦サウジアラビア戦は「違う組のチームを戸惑わせるために」10人、そしてサウジアラビア戦から準々決勝イラン戦は「これからの戦いを考えて、今日戦う上でのベストメンバー」と8人を入れ替えた。第3GKの牲川歩見(鳥栖)こそ出場機会はないものの、登録23名中22名がピッチに立って快進撃を続けている。自身が選んだ23名のメンバー全員を信頼している証だろう。
特出した選手に頼るのではなく23名のグループによる「総合力」を最大限に活かすことで選手への競争心を煽り、選手のモチベーションも高く維持してきた。そして指揮官も選手への「信頼」をしている事を行動で示しつつも、時に大胆な奇襲と言える「采配」で、下馬評が決して高くなかったチームはリオ五輪出場権獲得まで、あと1勝に迫っています!
26日の準決勝のイラク戦では選手と共に歓喜の輪をスタッフ一丸で掴み取っているシーンを想像したいものでありますね!
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