森山佳郎監督が追求するのは…
今年9月に来年のU-17ワールドカップ出場権を懸けたU-16アジア選手権を控えるU-16日本代表は、藤枝東高、静岡学園高、清水エスパルスユース、桐光学園高と、自分たちよりも世代が上の相手と練習試合を行ないました。
かつては名古屋グランパスのスーパーサブとして活躍して、引退後は指導者としてサンフレッチェ広島ユースを世代屈指の強豪チームに育て上げた森山佳郎監督が、まずチームのベースとして植え付けたことは、『ファイティングスピリット』だった。
「よく『技術でフィジカルを上回れば良いじゃないか』と言われるけど、今、世界中のサッカーにおいて、『選手のアスリート化』がかなりのスピードで進んでいる。
昨年U-15日本代表が同年代のイングランド代表と試合をして、その後、U-18日本代表が同年代のイングランド代表と試合をした。このふたつを見比べると、たった3年の違いで、こんなにも差がついてしまうのかと痛感させられた。あっという間に差がついてしまう。
U-18になると、190センチオーバーの選手が速くて、強くてアスリートのフィジカルを持ち、しかも技術がある。そういう選手と戦うには、それ以上の技術はもちろん必要だけど、試合中にフィフティ・フィフティのぶつかり合いがあるし、守備でもコンタクトに勝たないといけない。この差を詰めるためには、14、15歳から始めないと、到底追いつけないんです。日本も進化のスピードを速めないといけない」
森山監督の言うファイティングスピリットは、これは単なる精神論ではない。フィジカルコンタクトを避けることなく、球際では一歩も引かない。その上で、技術で相手を上回る。中学年代から『上手ければ良い』という認識を払拭し、上手さと強さを兼ね備えた選手の育成をベースにしている。
つまり森山ジャパンでは、技術に長けながらも“闘い”に勝つための強さを持てない選手では戦えないのだ!
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高校生にも負けない強さが求められる森山ジャパン!
清水ユース、桐光学園との2試合が行なわれた2月14日は、春一番が吹き、暴風雨となる最悪のコンディション。試合中もずっと風が吹き荒れ、霧もあるなか、彼らは学年が上の選手が揃う『格上』を相手に、フィジカルコンタクトを逃げることなく、果敢に立ち向かって行き、ぬかるんだピッチを物ともせず、持ち味を発揮した。
当然、フィジカルの差があり、当たり負けすることもあったが、立ち上げ当初はフィジカルコンタクトを避ける選手もいたなかで、もはやそういった選手はピッチ上にはいなかった。イーブンボールをモノにしたり、積極的なインターセプトからカウンターを繰り出したりと、力強いサッカーを披露。新3年も出場していた清水ユース戦では、PKで失点をしてもトーンダウンすることなく、高いテンションのまま戦い続け、終了間際に追いついてみせた。
「中学生にしては、高校生チームを相手にしても、互角に戦えるかなと思います。ただ、『もう高校生との試合はおしまい』というレベルに引き上げたい。まだまだ中3なので、高校生の2学年上の選手に圧倒しきれないが、今年中には『高校生には負けないよ』という状態にして、本番(U-16アジア選手権)を迎えたい」と森山監督は話しています。
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指揮官の理想はまだまだ先にあり、元バルセロナのカンテナ(下部組織)出身で森山ジャパンで最も注目を集めるFW久保建英(FC東京U-15むさし)も例外ではなく、上手さだけでなく、力強さも求められ、指揮官からは戦うスピリットを着実に植え付けられている。
MF福岡慎平(京都U-15)、鈴木冬一(C大阪U-15)、DF瀬古歩夢(C大阪U-15)らも、上手さに強さが上積みされ、主軸に成長しようとしている。伸びしろの大きさを示したU-16日本代表。よりたくましさを増して本番に臨むために、森山監督は熱く彼らに要求し続けます!