時短できるプレゼン資料とは…
画像や指標を多用した資料は会議の必需品と思われがちですが、あえて「引き算」したシンプルな資料で成果を上げている事例もあります。
某大手ビールメーカーは昨年は風味が全都道府県で異なる「47都道府県のビール」をヒットさせてます。型破りなヒットの裏には、書類作成の簡素化があるようです。
マーケティング担当者が今春発売のノンアルコールビール開発に当たり、代理店向けに作成したプレゼン資料は、A4用紙1枚の箇条書きスタイルです。
地味な印象ですが「論旨が伝わる速度が速く、プレゼン時間は4分の1になった。作成時間も3分の1に減らせる」と絶大な効果を語っています。
その中で担当者が決めている緩やかなルールは、
1.「商品を作る背景」や「現状分析」を先に、それを受けてこんな商品が売れるはずだという仮説を書くこと。
2.箇条書きで簡潔に記し、そして仮説を裏付ける指標を厳選して裏面に載せる。
の2点です。
このスタイルの企画書で、挑戦的な商品が生まれやすくなったそうです。例としてノンアルコールビールの新商品が挑むのは、競合2社がシェア7割以上を占める寡占市場であり、そこに参入しても勝ち目はないと思われがちな商品です。「既存商品では満足できない人がいるはずだという仮説があった。でも、そればかり強調しても、上層部は納得しない。背景や現状を分析し、仮説が市場ニーズに合っていることを、論理的に説明するほうが、理解を得やすい」と担当者は自身を持って語っています。
以前はパワーポイントで資料作成していた頃は、思いや見た目が先行し、論理を展開しにくかったそうです。
このスタイルを採用したきっかけは、2010年に研修で某大学の講義を受けた際、課題の企画書をパワポではなくワードで作るよう指示されたことがキッカケだったそうです。
担当者は「実際に書いてみて、論旨が明快になると気づいた」と語っております。
資料作りを簡素化して捻出した時間は、市場分析や仮設の検証に充て、ざっと書き起こし、思考が整理され次に作るべき商品がクリアになるといい、無駄を省いた「引き算の資料作り」と言えるでしょう。
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効率的な社内環境や会議とは…
会議不要・資料不要を意味する「ノーミーティング・ノーメモ」。この合言葉の下で会議と資料の削減が進んでいるのは某大手お菓子メーカー。同社は7期連続最高益を達成し、その背景には会議と資料の削減が寄与していると言います。
以前は、執行役員やグループ会社社長の定例会議が毎月、トップマネジメント層による経営会議が毎週あったそうですが、現在定例会議は全廃され経営会議は月1度に削減されたそうで、効果として「会議資料や議事録の作成業務が激減した」と語ります。
経営会議では会議資料の事前提出を義務化しており、会議が業務報告にならないよう、内容も事前にチェックします。会議資料のデータは最小限に絞り、こうした取り組みで1度の会議でディスカッションできる議題が増えたそうです。
また各部門での週次ミーティングが推奨されていたが、必要に応じて行うことに変更され「ミーティングを待たずに相談できて話が早い」と社員にも好評です。
こうした会議・資料の削減を実現しているのがフリーアドレス制のオフィス環境であるそうです。書類をためることができないためペーパー類が激減し、壁のある会議室は1つだけだ。席の固定化を避けるため、社員がその日座る席をコンピュータが割り振るシステムが採用されているそうです。
頻繁な席替えで顔見知りが増え、部門横断的なディスカッションが自然に生まれ、コミュニケーションが人間関係を活性化し、新しい仕事のアイデアが生まれてくるそうです。業績を押し上げるのは資料だけではなく、活発な議論であるのを印象付ける事例ですね!